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2007/10/20 [ 裸足文化 ] |
西欧には「床」という概念がないのではないか。 家の中まで土足だから、どこまで行っても地面だ。家に入るとそこはGround Floorと呼ばれ、階段を上がるとFirst Floorとなる。いずれにしろ地面の延長線上なので、日本でいう「床」と西欧の「Floor」は、意味が少し違うように思う。 日本では履き物を脱いで家に上がるとそこが最初の床、一階である。上がる前の土間は、西欧でいうところのGround Floorといえる。階段を上がると2枚目の床だから二階となる。日本では床が「階」なのだ。 日本では椅子やベッドを使っての、床から離れた生活を”立式”、床の上で直に生活するのを”座式”と分類されるが、この分類法は本質を突いていない。 本来ならば、まずは土足文化と裸足文化に分類し、そのうえで立式と座式に再分類されるべきである。”地面”のFloorに椅子やベッドを置いて使うのと、床に載せて使うのでは全く違う文化である。 土足文化では腰掛けて生活するから目線が高い。開口部はテーブルから上にあれば充分で、かならずしも床まで開いてなくても空間的な支障はない。 テーブルから上の腰窓により、床は閉じられたかたちで完結し、 壁もまた、穴の開いた面として完結する。結果的に全体として箱形の空間となりがちだ。 裸足文化では床に座ったり横になったりする。とうぜん目線は低く、視界を広げるために床まで開ける、いわゆる「掃き出し」型の開口部が必要となる。 床までの開口は床の延長先がそのまま外となるため、壁面も含めて内の空間として完結しなくなる。 「掃き出し」は曖昧性が特徴の日本的建築空間の原点といえる。 |