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2011/07/10
[ 不思議なプロポーション ]
 
白銀比とよばれる比率がある。誰が名付けたか知らないが、おそらく西洋の黄金比に対抗して名付けられたのだろうと推測する。
白銀比は身近にありながらとても不思議な比率で、私はこちらこそが”黄金比”と呼ぶにふさわしいと本気で思っている。

わかりやすいのは新聞紙だ。配達されてきたときは(少し小さいが)A4。開くとA3。また開くとA2の1ページとなる。それを開くと、いわゆる見開きのA1となる。どの大きさも同じ比率で、折ってもおっても折ってもおっても常におなじプロポーションなのだ。比率は1対√2。

日本の紙の規格は大きくはA列とB列に分けられる。昔から使われてきた和紙はB列に分類されている。だからA列は「洋紙」で、西洋コンプレックスから洋紙が”A”で和紙が”B”になったのだろう(たぶん)。
どちらの比率もじつは1対√2。同時発生なのか古代中国あたりから広まっていったのかは知らないが、不思議でおもしろい。B4の規格の元は手漉きの和紙で、半紙、わら半紙はB4である。障子の組子は、この和紙の四分の一の大きさにすると、貴重な手漉きの和紙をむだなく使えるといわれている。

西洋から入ってきた洋紙の規格と和紙の規格をどこで整合させたか。ためつすがめつ悩んだすえに、あるときA4の対角線の長さが和紙の長辺に限りなく近いことを発見した(おそらく)。手近にあるA4とB4で、ぜひお試しあれ。

明治政府の苦労と楽しみが目に見えるようだ。