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2012/04/22
[ オノマトペ ]
 
オノマトペという言葉を初めて知った。擬音語や擬声語、擬態語の総称らしい。元はフランス語で、そのまま日本語に置きかえられたもののようだ。

医者が東北の被災地を応援に行って患者たちから症状を聞き出そうとすると、オノマトペが方言化していて意味が分からなくて困ったそうだ。(新聞記事による)
例えば、ヒリヒリは方言では”ピリカリ”に、ハアハアは”ハカハカ”、たんがからまるは”セラセラ”になってしまう。
他にもいろいろあるようだが、これでは標準語しか知らない医者はお手上げだろう。

 体調を表す東北の言葉たち
ぞっとする・・・> ざきっ
じとじと・・・・> ずどずど
ぼんやり・・・・> ばやばや
ちくちく・・・・> いかいか
くらくら・・・・> うらうら

僕の好きなオノマトペを拾い出してみた。
オンチョロチョロ、スッテンコロリ、ヘロヘロ、スットコドッコイ
ズイズイズッコロバシ・・・トッピンシャン・・ドンドコショ
なかでも”オンチョロチョロ”は印象深いオノマトペだ。

”オンチョロチョロ”は子供の頃、子守歌代わりに母親から聞かされた昔話に出てくる。確か「旅人さん」という話だったと思う。
詳しくはおぼえていないが、おばあさんが一人で住んでいる野中の一軒家に夜中に旅人がやってくる。暗闇のなかでポツンと明かりの点いた一軒家が今でも目に浮かぶ。

旅人はお坊さんの格好をしているがじつは偽物だ。おばあさんは旅人に、せっかくだから是非お経を上げてほしいとお願いする。しかたなく仏壇に向き合ったものの旅人はお経を知らない。
そうこうするうちに泥棒がやってきて戸口の節穴から家の中をうかがっている。旅人は仏壇わきの壁の穴からネズミが覗くのを見て、「オンチョロチョロ穴覗き候」と唱えるとおばあさんは、聞いたことはないけど有難そうなお経だと「オンチョロチョロ穴覗き候」とつづける。それを聞いた泥棒は「どうして覗いているのがわかるのだろう」と少し不安になるが、戸をそーっと開けて中に入ろうとする。
ネズミも穴から体を出して部屋の様子をうかがう。こんどは「オンチョロチョロ出て参り候」おばあさんも「オンチョロチョロ・・・」とつづける。泥棒はびっくりして外へ飛びだすも、また節穴から中をうかがう。
ネズミも穴に戻ってまた覗く。「オンチョロチョロまた覗き候」。泥棒は「すべてお見通しだ」と腰を抜かして逃げ帰った。
怪しげな旅人とおばあさんの様子を見たネズミも不安になって穴の置くに引っ込んだ。「オンチョロチョロ帰られ候」「オンチョロチョロ・・・」

旅人はめでたく泥棒退治をしたとさ! おしまい。