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2016/04/02
[ 心柱 ]
 
五重の塔の屋根の上にはいわゆる九輪がそびえている。九輪のうえには水煙とよばれる火災を避けるためのおまじないの飾りがあり、その上に塔で最も重要な仏舎利が納められる宝珠が載っている。九輪の台も含めた全体を相輪というが、これだけでも結構な高さと重量がある。
あるとき、塔はなぜ地震に強いのかを研究者が調べてみたら、心柱が基礎である礎石に接していないということが判明した。塔の荷重は塔の周囲の柱だけが支えていて、中心のいわゆる心柱は荷重をいっさい受けていないということになり、誰もが「だからだ!」と妙に納得した。
その結果・・心柱は宙に浮いていて塔を構成する木材の長年にわたる収縮やゆがみを引き締めるための”重し”であると同時に、地震の揺れを吸収するいうバランサーの役割をしていてるのだという説が一気に広まった。

ところが・・・他の多くの塔を調べてみると心柱がきちんと礎石に接している例もあり、この説はあえなく消え去った・・・・。


 !!そこで自説・珍説

九輪の中心には心柱が伸びていて何重もの屋根を貫き、大きな重量の相輪たちを支えている・・そうなのだ! 心柱は相輪を天に向けて高く掲げるため”だけ”にあるのだ。
「宝珠」を天高く掲げるためには長くてまっすぐな柱を建てなくてはならない。それを支えるために周囲にたくさんの柱を立て、かつそれらを雨風から守るために屋根をかける。その屋根からは雨水が垂れてくるから、建物を傷めないように次の屋根を架ける。芯柱が長くなればなるほど何重にも屋根を掛ける。それが結果として三重の塔や五重の塔になるのだ・・・
これが僕の説です。
ちなみに、相輪だけを地上に置いた相輪塔というのがある(写真_ウィキペディア)。
これが塔の原型じゃないのかナ〜?